高用量アスピリンでも出血!?アスピリンジレンマの復習と論文結果
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今日病院から電話があって恐ろしいことが判明しました。。

とある患者さんがバイアスピリン100mgを1日2錠で服用していたとのこと。。

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痛み止めの作用もあり、もう一つの作用は抗血小板作用

バイアスピリンとは抗血小板薬として有名な薬です。

抗血小板薬とは、病院や薬局で説明されるときは「血液サラサラの薬」とよく言われる薬です。

血小板は出血を止めるカサブタの役割をする物質です。

血小板は、血液が破綻したとき、そこに集まって凝集し、血栓をつくって破綻した穴を塞いで、血液の流失を防ぐ働きがあります。

よくわかる生理学の基本としくみ

この作用に抗う、抑える作用をすると出血が止まらない、ということになりますね。

ただ、アメリカ映画をよく見ていると「アスピリンをくれ!」というセリフをよく見ると思います

ダイハード3でも二日酔いによる頭痛なのか、傷を負ったことによる痛みなのか

「アスピリンをくれないか!」

と言っているジョン・マクレーンが描かれています。

そう、アスピリンは鎮痛薬としても広く知られている薬です。

でも痛み止めと抗血小板作用はイメージがつきにくいですよね。。

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高用量になればなるほど血液サラサラ作用はなくなる?

一般的にアスピリンの作用は

  • 低用量で抗血小板作用
  • 高用量で鎮痛作用

を示すと言われています。

痛みはプロスタグランジンという物質に由来するということを以前の記事で書いたと思います。

一般的な痛み止めはシクロオキシゲナーゼという物質を阻害してプロスタグランジンを作らないようにしています。

プラスタグランジン(PG)にはいろいろな種類があり、PGI2血小板凝集に関するものもあります。

また、プロスタグランジンを作る流れの中でトロンボキサン(TX)という物質も作られます。

この物質(TXA2)も同じように血小板凝集に関する作用をします。

  • PGI2は血小板凝集を抑制して
  • TXA2は血小板凝集を促進します

つまりこの割合が変われば血液が止まりやすくなったり、しなかったりするわけです。(以上参考)

今回薬局で起こったインシデントは「バイアスピリン錠100mgの倍量服用」

つまり、どちらかといえば凝集方向へのミスです。

このミスだったら出血がひどくなることはないし、出血多量の恐れはないと思ったんですが

添付文書を読んでみると「症状により300mgまで増量できる」と記載があり、

バファリンA330の重大な副作用には「出血」としっかり記載がありました。

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昔の論文でも「高用量でも抗血小板作用はある」とされている

今回のことがあり、患者に健康被害が出るのかどうか調べてみました。

すると、低用量だろうが高用量だろうが血小板作用はあるという論文結果が見つかりました。

これは驚きでした。。

大学のときにアスピリンジレンマとして習った内容とは違いますからね。。

実際に、患者さんに謝罪したときに「ちょっと服の袖に血が付いたくらいじゃね!」

と言われたようでした。

薬を間違えて飲んだのは1日だけでしたが、実際に体調変化はあったようなので効果は絶大のようです。

最後に

今回のミスは私がしたわけではありませんが、インシデントが起こった背景を考えると

自分が事故の当事者になってもおかしくはありませんでした。

このインシデントがわかったときは

「バイアスピリンを倍量飲んだところで血小板凝集作用があるだけで出血傾向にはならんでしょう」

と思いましたが、間違いでした。。

みなさんもこの薬だから大丈夫でしょう、

と思わずに日々の小さなヒヤリハットでも紳士に対処していきましょう。

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