
先日、とある患者さんのご家族の方から
「利尿剤とカフェインの利尿作用は一緒なの?」
と聞かれました。
利尿剤Aと利尿剤Bは何が違うの?と聞かれたことはありますが、この質問は初めてでした。
ということで、今回は利尿剤とカフェインの作用の違いについて調べてみました。
今回の記事は「日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-」
「腎輸入細動脈におけるアデノシンの作用」という論文とwikipedia、
以上の本を参考に作成しています。
Contents
結論:利尿剤とカフェインの作用機序は違う
利尿剤は一般的に腎尿細管の再吸収抑制が主な作用です。
で、カフェインの作用は再吸収抑制もあるんですが
「アデノシン受容体を阻害し糸球体濾過量の低下を抑制」します。
再吸収ってなんやねん、糸球体濾過量ってなんやねん!
って感じですが、これはまた後から説明します。
一般的な利尿剤は「アデノシン受容体の阻害」というのは無いので
「利尿剤とカフェインの作用機序は違う」ということになります。
尿が出来る仕組み
尿は元々血液です。
血液は体中を巡っていて、腎臓に入った血液の一部が尿になります。
腎臓を通ったときに糸球体という濾過機能のある所を通って
血球や分子量の大きいタンパク質以外のものが尿になります。

利尿剤とカフェインの作用で共通するところは「再吸収の抑制」ですね。
「再吸収の抑制」とは尿として排泄されることです。
ご飯を食べて消化管で分解され栄養素が身体に入ることが吸収ですね。
その後、尿として排泄される前に身体に戻るので「”再”吸収」ということですね。
再吸収を抑制するとは、身体に戻っていくのを抑えるので「排出される」ということになりますね。
一般的な利尿剤は再吸収の抑制。カフェインは糸球体濾過量の抑制阻害。
利尿剤は色々種類があって、大きくは
「チアジド系利尿剤」「ループ利尿剤」「カリウム保持性利尿剤」「バソプレシンV2受容体拮抗薬」
の4つが挙げられます。
いずれも腎の尿細管、さっきの図でいうと③にあたるところに作用します。
カフェインも利尿剤と同じく図③にあたる腎尿細管の再吸収抑制もします。
カフェインと利尿剤の違うところは「アデノシン受容体の阻害作用」があることです。
腎臓にもアデノシン受容体があり、
アデノシンという物質がこの受容体にくっつくことで糸球体の濾過量を減らします。
コーヒーやお茶を飲むとカフェインが身体に入り、
このカフェインがアデノシン受容体にくっつきます。
アデノシン受容体にカフェインがくっついているので
本来くっつくはずのアデノシンがくっつけずに、濾過量が減らない
→濾過量が増えるので尿量が増えるというメカニズムになっています。
最後に
以上が利尿剤とカフェインの作用機序の違いです。
カフェインが利尿作用があるというのは知っていたものの、
具体的にどういう機構で作用しているか考えても見なかったので良い機会だったなと思います。
次は利尿剤第2弾として「サムスカの粉砕」について書いていきたいと思います。
色々調べながらなので、今週中には書いていきたいなと思います。