
前回アルコールと風邪薬の話をしましたが、今回も飲み合わせの話です。
風邪を引いて病院に行ったときや歯医者に行ったときに
「抗生物質」「抗生剤」
と呼ばれる薬をもらった事はないですか?
風邪を引いたときは喉が痛かったり、歯医者や外科では「化膿止め」として
抗生物質が処方されたりします。
抗生剤の中にも一緒に飲むとNGな飲み物やくすりがあります。
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牛乳とNGな抗生物質
まず、キノロン系の抗生物質とテトラサイクリン系の抗生物質は牛乳と相性が良くないです。
正確には、抗生物質と一部の金属の相性が良くないです。
でもどうしても牛乳は生活に欠かせない!という人もいるかも知れません。
そういう人は、薬と牛乳を飲む時間をずらしてください。
今回対象になっている薬は1日1回の薬か1日2回の薬です。
なので朝晩に飲む薬なら昼に牛乳を飲む。
夕食後に飲む薬なら朝牛乳を飲むなどすると問題はありません。
本題に戻りますが、相性が良くない理由としては「害がある」というのではなく
「効果が悪くなる」からです。
じゃあなんで牛乳と一緒に飲むと効果が悪くなるかと言うと、キレートを作るからです。
このウィキペディアを見たって、「で?」って感じだと思います。
僕も学生時代これを読んで「ほーん?」って感じでした。
簡単に言えば、薬の成分が金属とくっついて身体に吸収されなくなることです。
吸収されないということは、治らないということですね。
どんな抗生物質がダメ?
さっきも少し出ましたが、キノロン系の抗生物質とテトラサイクリン系の抗生物質は
金属とキレートを作るので注意が必要です。
じゃあキノロン系って、テトラサイクリン系ってなによ?って感じですよね。
- キノロン系の薬の特徴
キノロン系というのはジェネリックの薬だと「〇〇キサシン」という名前の薬です。
先発だと「クラビット」「ジェニナック」「オゼックス」という薬があります。
キノロン系の薬は他にも沢山あるので、色んな薬や牛乳を普段から飲んでいる人は注意ですね!
- テトラサイクリン系の薬の特徴
テトラサイクリン系というのはジェネリックの薬だと「〇〇サイクリン」という名前の薬です。
先発だと「ミノマイシン」という薬が一番有名でしょうか?
自薬局では在庫しているけど他の薬に比べたらあんまり触らない薬ですね。
キレートについて調べていると「セフゾン」「セフジニル」という薬もキレートするみたいです。
この薬は割と出る薬ですね。
どんな金属がNG?
どんな金属を含むものが注意が必要かと言うと、
アルミニウム、マグネシウム、鉄、カルシウムです。
カルシウムと言えば、牛乳にもしっかり入っていますね!
- アルミニウムが含まれている薬
これは胃薬や下痢止めに含まれています。
胃薬だとアルサルミン、下痢止めだとアドソルビンという薬に含まれています。
- マグネシウムが含まれている薬
これは主に便秘の薬ですね
マグミット、カマグ、重カマなんて名前の薬があると思います。
これは処方箋医薬品だけじゃなくても、OTCの薬もありますね。
- 鉄が含まれている薬
鉄が含まれている薬は一般的に貧血治療に使われるものが多いです。
フェロミア、クエン酸第一鉄、フェロ・グラデュメットなんていう薬があります。
病院で薬をもらわなくてもサプリメントを飲んでいるっていう人も居ますよね?
薬局では最初の来局時にアンケートでサプリメントの服用について聞くようにしていますが、
アンケートを聞いたあとで飲み始めたりすることもあるので漏れがあるかもしれません。
貧血治療薬以外にも透析患者が飲むような薬で「ピートル」「リオナ」という
リンの値を下げる薬にも鉄剤なので、一緒に飲むと作用が下がってしまいます。
この薬は一般の人にはあまり関係ない薬ですね!笑
- カルシウムが含まれる薬
カルシウムといえば、骨、というのはなんとなく想像がつくんじゃあないでしょうか?
よく高齢者には整形外科や内科で「アスパラCA」「Lアスパラギン酸カルシウム」
という薬が出るんですが、単純にカルシウムの補充目的ですね。
この薬は本当に整形外科や内科でよく出る薬なので、患者本人・家族・薬剤師も注意が必要です!
抗生物質飲み始めたらマルチビタミンも控える
ちなみにネイチャーメイドのスーパーマルチビタミン・ミネラルにもここらへんの金属が入っています。
マルチビタミンは良いんですが、ミネラルっていうのがNGなんですね。
このスーパーマルチビタミン・ミネラルのミネラル分にはマグネシウム、鉄、カルシウム
が含まれています。
ガッツリですね笑
抗生物質を飲んでいる間はマルチビタミンも控えたほうが
薬も効いて体調は良くなるので是非控えましょう!
本当にあった抗生物質と牛乳の併用の話
これは薬剤師の友人の話で、友人Aくんが入院したときの話です。
彼が入院したとき、食事に牛乳が毎回出ていたそうです。
そこにさっき取り上げた「ミノマイシン」という薬が出ていたそうです。
普通の患者さんだったら「キレート起こすからだめじゃん!」なんてことはわからなかったと思いますが、
Aくんは薬剤師だったのですぐに気が付き、看護師さんを呼んで
「この薬と牛乳ってキレート起こすからダメですよね?(ドヤァ)」
と言ったそうです。
対応した看護師さんはすぐに確認を取って薬が変更になったそうですが、
病院でさえこういうヒヤリハットがあるので、
患者さん側も少しでも知識があると回避できるかもしれませんね!