
冬季オリンピックが盛り上がってきている中、
フィギュアスケートROC代表のカミラ・ワリエワ選手のドーピングが問題になっていますね。
ドーピングは故意にするのはもちろん、「うっかり」禁止薬物を摂取しても規約違反となります。
今回の記事は
- ドーピングとは
- ドーピングをしないための対策
- ドーピング認定を受けた有名選手
の3本建てでお送りします。
- スポーツで活躍したいと思う学生・社会人
- それを支える人たち
は是非読んでみてください。
ちなみに日本スポーツ協会がまとめた「使用可能薬リスト」というのもありますので、
まず知りたい方はこちら。
Contents
ドーピングとは?
ドーピングとは「スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為」のことです。禁止薬物を意図的に使用することだけをドーピングと呼びがちですが、それだけではありません。意図的であるかどうかに関わらず、ルールに反する様々な競技能力を高める「方法」や、それらの行為を「隠すこと」も含めて、ドーピングと呼びます。
JADA公式HP-アンチ・ドーピングとはより引用
つまり、
ルールに反して能力を高めるとスポーツは公平で無くなるのでいけませんよ
ということですね。
それが薬を使っているか否かは「主たる問題ではない」ということですね。
カミラ・ワリエワ選手のドーピングはどういう規約違反なのか?
今回ワリエワ選手の検体から見つかった成分は「トリメタジジン」という成分です。
日本では「バスタレルF錠」という商品名で薬価収載されています。

まあ聞いたことがない薬ですね。
「昭和の薬」と紹介したニュース番組もあるようですね。
適応としては、
- 狭心症
- 心筋梗塞(急性期を除く)
- その他の虚血性心疾患
ということです。
じゃあなぜこの薬がダメなんでしょうか?
適応に記されている病気は
「心臓の血管が詰まったりして心臓の筋肉に血液(酸素や栄養素)が巡っていない状態」
の病気です。
それを治す薬なので
「心臓の血管を広げ、心臓に酸素や栄養素が巡る」
ようにします。
病気の人は、治療薬を飲むことで健常人と同じ程度の生理機能に戻るかもしれませんが
健常人が薬を飲むと健常人以上の生理機能になってしまいます。
(実際にはホメオスタシスによってそこまでの影響が出ないかもしれませんが)
とあるお昼のニュース番組のコメンテーターの方は
「軽自動車にフェラーリのエンジンを載せて走っているようなもの」
と言っていました。
16歳の少女がそのような状態だとすると相当な負担があるでしょうね。
またとある記事では、ワリエワ選手の弁護士が
「祖父が周期的に飲んでいる薬で、たまたま同じコップを使っていたから検出されたのでは」
という発言をしたことを取り上げています。
文面から察するに「うっかり」ということを強調したいようですが
「うっかりドーピング」でも規約違反で処分されることはあります。
なのでプロスポーツ選手はチームで「うっかりドーピング」が起きないように
徹底して対策を取っているわけですね。
うっかりドーピングと「うっかり」しない対策3つ
ドーピングには2種類あり、
- 故意的なもの
- そうでない「うっかり」なもの
があります。
俺か俺以外かみたいな感じですね。
「うっかりドーピング」にも色々あり、
風邪を引いた。 自己治療出来ると思い、市販の薬を飲んだらその中にWADAで禁止されている薬が入っていた。
なんてことや、
栄養ドリンク・サプリメントを飲んだ。 成分表示を読んで問題ないと思ったが、微量だけ未確認の成分が入っていた。
なんてこともあります。
これらを「うっかりドーピング」と言います。
こんなのは選手からしてもチームからしてもなくしたいですよね。
ということで「うっかりドーピング」を撲滅する3つの対策を紹介します。

対策1:ドーピングに詳しい医師・薬剤師(スポーツファーマシスト)に相談する
公認スポーツファーマシストは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師です。薬剤師の資格を有した方が、(公財)日本アンチ・ドーピング機構が定める所定の課程(アンチ・ドーピングに関する内容)終了後に認定される資格制度です。
スポーツファーマシストHP-スポーツファーマシストとは より
まずはこれですね。
これが一番確実だと思います。
プロの選手は専門家をチームに入れていると思うので問題ないと思いますが、
個人や小さいチームなんかは身近に相談する人が居ないんじゃないでしょうか?
大きな大会や試合に出る人や活躍を目指している人は
薬やサプリメントを飲む時は必ず専門家に相談するようにしたほうが良いと思います。
ドーピングに関するルールはJADAの公式HPに記載されています。
サイトの下部にはスポーツファーマシストの公式HPもリンクされています。

またスポーツファーマシストの検索もスポーツファーマシスト公式HPからすることが出来ます。

公式HPの「スポーツファーマシストを探す」をクリックすると写真のような画面が出てきます。
この画面から自分が活動する地域にいるスポーツファーマシストを探し相談することが出来ます。
対策2:「インフォームド・チョイス認証」を取得しているもの以外は摂取しない
もう一つの対策としては
「インフォームド・チョイス認証」を取得しているもの以外は摂取しない
ということです。

インフォームド・チョイスとはWADAが調査をして
「禁止薬物が入っていませんよ!」
と認めたものです。
日本の栄養ドリンクではリポビタンDやユンケルローヤル200などがあるようですね。
他にもSAVAS、VAAM、be LEGENDなどのプロテイン・サプリメントも認証を受けているようです。
詳しい商品一覧はこちらのサイトからも確認することが出来ます。
購入・摂取前に「インフォームドチョイス」の認証があるかを再確認して使ってください!
インフォームド・チョイスについて詳しく知りたい方はこちらのサイト。
対策3:TUE申請をする
TUEとは、「治療使用特例」のこと。禁止物質や禁止方法であっても、事前に所定の手続きによってTUEが認められれば、例外的に使用することができるんです。ただ、TUEが承認されていなければ、医療上の理由でも禁止物質・禁止方法を使用できません。もし、使用してしまうと「アンチ・ドーピング規則違反」と判断されることがあるので、下記の承認条件を確認したうえで、十分注意して手続きを行ってください。
JADA公式HP-TUE(治療使用特例)について より
スポーツ選手の中には病気を患いながら活躍する選手もいますし
怪我をしてやむを得ず薬を使用しないといけない場合もあります。
治療のためには禁止薬物を飲まないといけない。そういう場合もあります。
この場合TUE申請を「事前に」することで規約違反になりません。
ここでのミソは「事前に」という点です。
「事前に」しないと規約違反と判断されることがあるので注意が必要です。
プロの選手だとこういったことは常識として知られているかもしれませんが
学生や大きな試合に出ていない選手などは知らないかもしれませんね。
TUE申請の期限
TUE申請には有効期限があり、一般的には1年とされています。
長期治療が必要な場合は期限が4年になるようですが、
期限が切れる前に更新・再度申請する必要があります。
再度申請を怠ったことでドーピング認定された選手もいるので注意が必要です。
アンチ・ドーピング規定違反をした有名選手と禁止薬物

井端弘和(違反薬物:プレドニゾロン)
この方は元中日ドラゴンズのプロ野球選手で、
まさに「うっかりドーピング」という感じです。
経緯としては、
眼病治療のためにTUE申請をして治療をしていたが 有効期限を本人・球団共に知らず違反が発覚
したようです。
プレドニゾロンが禁止な理由
プレドニゾロンは糖質コルチコイド、いわゆる「ステロイド剤」です。
抗アレルギー剤としてや免疫抑制剤として日本で広く使われています。
なんとなくステロイド剤はドーピングに当たると思っている人もいるんじゃないでしょうか。
糖質コルチコイドが違反薬物となる理由としては
- エネルギー代謝が活発になりパフォーマンスが上がる
- 抗炎症作用があり、怪我をした状態でも競技を続けられる
- 感染症や消化性潰瘍など別の病気にもなりやすくなる
という理由から禁止とされています。
ベン・ジョンソン(違反薬物:スタノゾロール)
この方はソウルオリンピック 男子100mで当時の世界新記録を樹立して優勝したあと
ドーピング検査にてスタノゾロールが検出され金メダルが剥奪されています。
当時は「故意に使用していない」と証言していたようですが、
数年後に「いろんな薬を使っていた」ということは認めています。
スタノゾロールという薬を使ったことは無いようですが。。
スタノゾロールが禁止な理由
この薬は「蛋白同化男性化ステロイド薬」という分類の薬で
いわゆる「男性ホルモン剤」ですね。
男性の身体と女性の身体を比べてみるとわかりますが、
男性は(一部を除き)筋肉が発達しています。
この分類の薬はどれも筋肉が発達するような薬なので禁止とされています。
タイソン・ゲイ(違反薬物:不明)
この方も陸上選手です。
発覚は試合以外での抜き打ち検査のときに違反薬物が検出されたようです。
推測される原因が
針治療やカイロプラクティックなどを施術する医師から『アンチエージング(抗加齢)』の治療も受け、そこで何らかのホルモン剤が使用されたのではないか
とされているようです。
これもうっかりというんでしょうけど、医師にやられたら選手はどうしようもありませんよね。
最後に
ドーピング違反の薬はたくさんあり、全ての種目で禁止されているものから
種目別で禁止されている薬もあります。
ベータ遮断薬という薬はアーチェリー、自動車、ゴルフ、射撃などの種目で禁止されています。
アンチ・ドーピングのルールは毎年細かく改定があるので
選手やスタッフが常に把握するのは難しいことだと思います。
「うっかりドーピング」をなくすためにもわからないことがあれば
「スポーツファーマシスト」で検索して近くの薬剤師に相談するようにしてみてください。